あれから1年経ってしまいました。
忙しすぎる毎日で・・・なかなか物書きに復帰できません。
そんな中でも、何人かの方が見に来てくださっているようで
本当に申し訳なく思っています。
ちなみに主人公を高校生にして書き直し中なのですが、うまくいきません・・・
在り来りな感じになりそうなので・・・。
125番目
「でも!でも!ですの!」
俺が考え込んでいると、紫のメリーが、俺の手を握って必死に訴えてきた。
「たかし様を殺したりはしませんの!それだけはわたくし・・・できませんの」
あまりに必死にうったえてくるもの紫のメリーの勢いに押されて、俺はベッドへと押されて転がり込んでしまった。
「それはしんじてほしいのですの。あのとき、黒い鎌に支配されたたかし様に、私は消されてしまうはずだったのですの・・・」
紫のメリーの目にはあのときの恐怖が宿っているのだろうか?
目は閉じたまま、涙があふれていた。
「でも、たかし様は・・・人間のなのに・・・人間の癖に・・・あの黒い鎌に反抗して・・・精神が崩壊してもおかしくはない状況だったでしょうに・・・苦しかったでしょうに・・・それでも、わたくしをまもってくださいましたの」
手をぎゅっと握り、どうしてもわかってほしい・・・そんなそぶりで訴えかけてくる。
「・・・わたくしは一度消されていましたの。あのときに・・・だからたかし様を殺すなんて・・・できませんの」
震えている。しかし、俺はどうすることもできずに紫のメリーを見つめていた。
「わたくし・・・には・・・できませんの・・・たとえあのお方を裏切ることになろうとも・・・」
紫のメリーはそのまま泣き崩れた。ベッドのふちに顔をうずめて・・・。俺はそんな紫のメリーの方に手を置いた。
横には俺のメリーがいた。俺の目を見て、うなずきながら微笑んでくれた。
紫のメリーは何かにおびえ、あまりにも無力だった。
今もなお、「あのお方」と呼ぶものに対して、おびえているのだろう。
俺を殺すこと、つまりメリーの契約を肩代わりし黒い鎌の所有者になること。
どうやら、それができなかったことで、「あのお方」と呼ぶものを裏切ることになるのだろう。
今からでも遅くはないのだろうに・・・。俺を狙えばそんなにおびえる必要はないのだろうに・・・。
それでも、彼女は俺を「ころせない」と・・・。
そう言ってくれていた。
124番目
「唐突だが、おまえ、どうやって、メリーが俺との契約をしたことを知った?」
俺は真剣な顔で紫のメリーを見据えた。
俺のメリーも、俺のいわんとしていることがわかったと見えて、ベッドに座って俺の様子を見ている。
紫のメリーは・・・。
「そ、それは・・・」
少しうろたえ、下を向いた。
「それはいえませんの・・・」
先ほどまでの高飛車な態度からは一変して、沈み込んだ姿の紫のメリー。
「どうしてだ?」
「それを話したら、わたくしも、消されてしまいますの・・・」
「そうか・・・わかった」
・・・紫のメリーは本当に何かにおびえているようだった。
しかし、ここでわかったことがある。紫のメリーは、偶然黒のメリー・・・つまり俺のメリーが俺を殺すことができなかった、つまり契約を遂行することができなかったということを知ったのではなく、何者かに告げられたということ。
そして、そのなにものかは、紫のメリーをおびえさせる存在であるということ。
たしかに、黒い鎌の話では、人外のものにとって、黒い鎌のマスターとなることは絶大なる力を与える。
人外のものである、紫のメリーにとっても、それは大きなメリットであるだろう。
しかし、それがなにものかによって指示されたものであるのであれば・・・。
そのものの目的は・・・いったいなんだというのか?
123番目
何もない空間が揺らめき、次第に輪郭を浮かび上がらせる。
薄い紫に濃い紫のアクセントで構成されたメイド服。
白いレースはふんだんに使ってある。非常に上品な感じのするロングスカート。
俺のメリーよりは少しお姉さんという感じの少女が現れた・・・。
彼女もまたメリー・・・紫のメリーだという・・・。
「おこちゃまの癖に・・・そういうことは、まだまだまだまだまだまだはやいんですの!」
きっと、俺のメリーをにらみつけている紫のメリー。
「たかし様もたかし様ですの!」
今度はメリーの後ろにいる俺をにらみつける紫のメリー。
「私が姿を消して、もしかしたら、こんなおこちゃまじゃなくって、私しをお呼び下さるのではないかと期待に胸を膨らませながら・・・」
紫のメリーは俺のメリーを無視して、俺に近づいてくる・・・。
「そう・・・『紫・・・やっぱり、あんな発育の止まったおこちゃまではなく、お前が・・・』なんていってくださるのではないかと・・・その・・・待っていたら・・・なんですの?そんなおこちゃまなんかに・・・」
夢見がちな乙女の妄想モード・・・。目に星がきらきらと光っているぞ・・・。
「発育とまってないもん!」
紫のメリーの行く手を阻むのは、俺のメリー・・・。
「ちょっとまて・・・」
またここで、少女の発育についてといううれしはずかしな話題で盛り上がられては、話が進まない。
「メリー・・・ちょっと待ってくれ、紫のメリー・・・少し話したいことがある」
俺は、俺のメリーを引っ張って、紫のメリーから引き離し、紫のメリーの前に立った。
「ほら!やはり、おこちゃまなんかではたかし様は満足・・・」
ほほほほほと高笑いしそうな紫のメリーの言葉をさえぎり、俺は話を切り出した。
122番目
「・・・う、うん」
俺はメリーの気迫に負けて、そううなずくしかなかった。
まるで俺が襲われてるようなかんじだ・・・。
すこし、どきどきしながら、メリーの顔が近づいてくるのを待った・・・。
すると、またメリーの背後の空間が、揺らめき始める。
「メリー後ろ!」
俺は叫んだ!
目を閉じて俺に血被いてこようとしていたメリーは、俺の声にわれに返り、
振り返る。
と同時に空中の揺らめきの中からスリッパが現れ・・・メリーの顔面を直撃して、消えていった・・・。
「いたーーーい!」
顔を抑えて、かがみこむメリー・・・。
そこには、スリッパがひとつ落ちていた。
しかも・・・便所スリッパ・・・。
俺はメリーに駆け寄りった。
「ちょっと顔を見せて!」
鼻とおでこが赤くなっているものの、たいした怪我はなさそうだ。
「いたい!いたいいたいいたい!」
と何度も叫びながらすっと立ち上がるメリー!
そして・・・なのもない部屋の真ん中に向かって目を凝らして、叫んだ!
「紫!そこにいるんでしょ!出てきなさいよ!」
・・・紫・・・紫のメリーか・・・。
俺はため息をついた・・・。
121番目
・・・スリッパ?
何もない空間からスリッパとそれを持っている人物の手が同時に現れ、一瞬目を疑っている間に、メリーの頭を・・・
すこーーーーん!
突然の頭への衝撃に目を開き、俺をじっと見るメリー。
じっと見るという感じではないな・・・。
俺をにらみつけるメリー。
俺はとにかく首を横に振って自分ではないとそういう主張をするしかなかった。
メリーの反応を確認している間に、空間の中から出てきたスリッパは消えていた・・・。
メリーをもう一度見ると・・・やはり俺をにらんでいる。
「ち、違うんだよ!俺じゃない・・・。後ろからその・・・なんだ・・・スリッパが・・・」
ものすごく緊張していた恥ずかしさも手伝って、期待が裏切られたこともあいまって・・・。
メリーは、俺の言葉など聞いていないような状態であった。
ゆっくりとあとづさりをしながら、
「落ち着いて・・・メリー?・・・落ち着こうね・・・」
そうなだめるしかなかった。ベッドの上にあがり、壁際まで追い詰められた俺。
メリーはそんな俺に馬乗りになるようになって、俺を押さえつけた。そして・・・。
「ちゃんと・・・して!」
・・・と、なんとも恥ずかしくも、ストレートな台詞を俺に投げつけてくる。
120番目
メリーは、少し顔を引いて、驚いた顔を見せた。
まん丸な目で俺のことをじっと見ている。
「あのさ・・・メリー・・・あまり見つめられると・・・」
「う、うん・・・」
真っ赤な顔で目をそむける。
「目をつぶって・・・」
そういうとがちがちに緊張したメリーは、びくっとしながら
「は、はい・・・」
と裏返った声で言った。
そしてぎゅーーーっときつく目をつぶる。
ちょうど・・・(><)こんな感じだ。
俺は微笑んで、メリーのほうへと近づこうとしたそのとき・・・。
メリーの背後の空間がゆがんだ。
敵か?
俺は、鎌を意識した。鎌が俺の手にすっと吸い寄せられるように収まる。
右手をそのままメリーの方にそして左手に鎌を構えた。
ゆがんだ空間から、なにものかが現れた!
119番目
俺はかまわずに続ける。
「そして、メリーを自由の身にした上で、俺と暮らしてもらうように頼む」
――――それはいい。
鎌が笑っていた。それは物理的な笑いではなかったが、さげすんだような、哀れみを伴った冷ややかな笑いの波が俺の胸に押し寄せてきていた。
――――そうなれば、よりいっそう、お前によってメリーは幸せになるな。幸せになればなるほど、お前が死んだとき・・・
そうだ・・・黒い鎌の目的は、メリーを不幸のどん底に叩き込むこと。それによって人の心をつぶし、人形メリーとして、人外のものとして成長させること・・・。
しかし、そんなことをさせない。
俺は鎌を握り返した。俺の胸のうちは言わずにいた。
もしかしたら黒い鎌のことだ。俺の心などとっくに読みきっているかも知れない。けれども、俺は言わずにいた。
――――いいだろう。少しの間、お前がメリーに変わりわしのマスター代理だ。
あまりの素直さに不気味に思ったが、俺の中から引き上げていく黒い塊の感触を感じ、俺はメリーに笑顔を返した。
「お、おわったの?」
「ああ、おわった・・・」
心底疲れた・・・。メリーの手を引き、もう一度抱きしめた。
「おそらく、とりこまれることはないよ。もしもそうなっても・・・」
「私に・・・たかしさんを殺せ・・・なんていっても無理・・・だよ・・・」
遠くを見ながらメリーが言う。
「いわないよ」
俺はメリーの顔を上げさせ、
「メリーの笑顔があればね、きっと取り込まれたりしない」
そう言ってメリーの顔に少しづつ近づいて・・・。。
118番目
俺はできるだけやさしくメリーの髪をなでた。俺自身その交渉がうまくいくかどうかわからない。しかし、鎌自身のプライドの高さゆえに俺の要求を拒まないだろう
俺は、驚いた顔で俺の方を見ているメリーを少し離して、床・・・ベッドの下の毛布に包まっている黒い鎌を手にした。
「鎌・・・・黒い鎌よ・・・俺の意思を沈みこまないように、俺をのっとらずに、俺にお前を使いこなせるようにできるか?」
メリーが明らかにおびえている。しかし、いざとなれば俺の手から鎌を奪う体制で構えている。
メリー自身もまた俺がメリーの言うことを聞かずに鎌を手にすることをわかっていたのだろう。
わかった上で、攻撃態勢のまま俺の横に立っている。
ぐをををぉおぉぉぉぉぉん・・・・。
鎌から黒い塊が流れ込んでくるような感覚・・・もう何度も経験した不快感。
だが次第にその衝撃は和らいでいる気がする。
――――なめられたものだな。
黒い鎌はそう言った。それは俺の頭の中に直接響いている感覚・・・。
しかし、メリーの目が俺を見る。メリーの目は自分にも・・・鎌に触れていない自分にもその鎌の声が聞こえていることをしましていた。
――――お前ごときが、わしを・・・わしにのっとられずにわしを使いこなせるとでもおもっているのか?
――――先ほど、あれだけの動きが取れたのはお前の体の神経をこちらで操作したからだ。
「わかっている。俺はまったくお前にのっとられている状態で危うく人ではないにしろ、女の子を一人手にかけてしまうところだった」
俺は体の中の黒いものに向かって今までと同じように感情を押し返すようにぶつけた。
「お前は、危険だ。もしも、ほかの人間やメリーに危害が及ぶようなら、俺は体を預けることはできない」
――――なるほど・・・。外から来る魔物を排除する気になったか・・・。
「ああ、ただし、そいつらから契約の解除の方法を探り出す」
メリーが、少し攻撃態勢を緩めて、俺の顔を見た。
