2007年01月14日

決意7

119番目

俺はかまわずに続ける。

「そして、メリーを自由の身にした上で、俺と暮らしてもらうように頼む」

――――それはいい。

鎌が笑っていた。それは物理的な笑いではなかったが、さげすんだような、哀れみを伴った冷ややかな笑いの波が俺の胸に押し寄せてきていた。

――――そうなれば、よりいっそう、お前によってメリーは幸せになるな。幸せになればなるほど、お前が死んだとき・・・

そうだ・・・黒い鎌の目的は、メリーを不幸のどん底に叩き込むこと。それによって人の心をつぶし、人形メリーとして、人外のものとして成長させること・・・。

しかし、そんなことをさせない。

俺は鎌を握り返した。俺の胸のうちは言わずにいた。

もしかしたら黒い鎌のことだ。俺の心などとっくに読みきっているかも知れない。けれども、俺は言わずにいた。

――――いいだろう。少しの間、お前がメリーに変わりわしのマスター代理だ。

あまりの素直さに不気味に思ったが、俺の中から引き上げていく黒い塊の感触を感じ、俺はメリーに笑顔を返した。

「お、おわったの?」

「ああ、おわった・・・」

心底疲れた・・・。メリーの手を引き、もう一度抱きしめた。

「おそらく、とりこまれることはないよ。もしもそうなっても・・・」

「私に・・・たかしさんを殺せ・・・なんていっても無理・・・だよ・・・」

遠くを見ながらメリーが言う。

「いわないよ」

俺はメリーの顔を上げさせ、

「メリーの笑顔があればね、きっと取り込まれたりしない」

そう言ってメリーの顔に少しづつ近づいて・・・。。

posted by 126 at 15:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 第九の情景「決意」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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