2007年01月05日

メリー衝突1

・・・・・・窓から差し込む明るい日差しで朝だと言うのはわかった。

しかし、身体の節々が痛くて、満足に動かすことができない。目を開けることすら、満足にできなかった。

ゆっくりと、がんばって目を開ける。目の前には天井が見えた。

・・・そうか・・・俺はベッドにもたれかかるように寝ていたつもりが、床に崩れ落ちたわけだ・・・。

親父の真似・・・朝、目が覚めるときに手をつないでいてやるって・・・難しいものだな・・・。

俺の手は、紫のメリーの手を握ってはいなかった。しかも、誰がかけたのか、ご丁寧に掛け布団をかけられて、きちんと仰向けで寝ている。

俺は改めて親父はすごかったんだと思った。眠ってしまったら、手をつなぎ続けておくことなどできはしない。もしかすると、親父は、俺が不安になるたびに、徹夜をしていたのかも知れない・・・。

そんなことを思いながら、ベッドの上を確認しようとした。

少し頭が働いてきている。もう、ベッドの上にはおそらくは誰もいないだろう。

俺に掛け布団をかけているという事は、紫のメリーが起きて、俺に布団をかけて出て行ったんだろう。

そんなことを思いながら身体を起こそうとした・・・。

・・・・・重い・・・。

身体が・・・重い・・・。

昨日黒い鎌に身体をのっとられ人間にはあるまじき運動神経を駆使した後遺症で、筋肉痛はある。

それで、身体が動かない・・・・のではない。

・・・・何かが乗っている・・・。俺は半分身体を起こそうとして、あきらめ、掛け布団をはいだ!

「・・・ん・・ううん・・」

俺の上には・・・。

紫のメリーが抱きつくようにのっかかっていた・・・。かわいい薄紫のリボンのあしらわれた白の下着姿で・・・。

「ど!!」

・・・あ、足を絡めてくるんじゃない・・・。

俺は、深呼吸をした。とにかく落ち着こう・・・。

「メリーさん・・・紫の・・・メリーさん・・・朝ですよ・・・」

と間抜けな声で声をかけてみたが、紫のメリーは幸せそうな顔でむにゃむにゃ言っている・・・。

俺は、彼女の身体に触れないように、ゆっくりと身体をずらしてみたが、少しでも離れようとすると、不機嫌そうな顔で、余計に俺を引き寄せて、さらには足が絡んでくる・・・。

「ちょっと・・・おきろよ!」

と少し大きな声を出してみた。

すると、紫のメリーは、薄く目を開けて、至近距離にある俺の顔を見て、うんうんと二度うなづいて俺の胸に顔をこすり付けるようにさらに寝息を立て始める・・・・。

・・・な、何が「うんうん」なんだぁぁ!

・・・こいつ、何を納得してさらに眠りについているんだ?

俺はあせりながらも、そのなんだ・・・やわらかいな・・・とか不謹慎な気持ちを必死で頭から追い出していた。

そのときだった・・・。ピンポーーーン。とチャイムの音がなり、つづいて、

「起きてる?」

とメリー・・・俺のメリーの声がドア越しに聞こえてきたのは・・・。

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メリー衝突2

「どわー」

あまりにもあんまりの・・・その何だ・・・展開に、俺はあせった。

このまま踏み込まれたら、まったく何の言い訳も通用しない・・・・。

「ちょ、ちょっと、ま、まって・・・き・・・そうそう着替え中だぁ」

と苦し紛れの言い訳を声を裏返しながらやってみる。

玄関の鍵・・・。大丈夫だ・・・鍵はかかっている。

「わ、わかった・・・早く・・・その・・・着替えてね・・・」

着替え中という言葉にどぎまぎしているのか、メリーの声もうわずっていた。

今の間に・・・ってどうすればいいんだ?

俺から引き離したとしても、この紫のメリーがいるという状況・・・。

しかも下着姿で、眠っているという状況には変わりはない・・・。

「すいません・・・あの・・・起きてください」

外のメリーには聞こえない声で、紫のメリーを起こそうとした。

しかし、むにゃむにゃ言うだけで起きる気配がない・・・。

とりあえず、紫のメリーを抱きかかえ、ベッドに移す。

服・・・服さえ着ていればまだ・・・その・・・なんだ・・・言い訳は出来るだろう・・・。

ってなんで俺が言い訳をしなければいけないんだ?

そうだ・・・とにかく服を着せよう!

俺はベッドの上にきちんとたたまれている服を広げて・・・・。

どうなっているんだ?この服は・・・。

気持ちだけが焦るが、なんとも複雑な服の構造にお手上げ状態だった。

目の前に下着姿の少女・・・その子の洋服を手にして悩む姿を見てしまったら、俺のメリーはなんと言うだろう・・・。

『何してるんですか?』

って怒るんだろうか?それとも・・・。

カタッ・・・。

背後で物音がした。

俺はゆっくりと振り返った。

そこには・・・俺のメリー・・・黒のメリーが・・・特大のほうきを手に持ってたっていた・・・。

 

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メリー衝突3

「麻子お姉さんが・・・男はね・・・簡単に信じちゃだめだって・・・」

うつむき加減で前髪がたれていて顔の表情が見えない。

「あたし、そんな麻子お姉さんに、必死で・・・あの人は大丈夫って・・・」

な、ないているのか?

鍵は閉まっていたはずだ。なのにどうやって中に入ってきたのか・・・。

「そう説明してきたのに・・・」

メリーはほうきを振りかざした。そして顔を上げる。ないてはいない・・・。しかし、その表情は・・・。

完全に怒っていた。

「うそつきぃ!」

ほうきが振り下ろされる・・・。

ほうきならいいかな・・・少々痛くても・・・。

それでメリーの怒りがおさまるのであれば・・・。

そんなことを思っていた。

しかし振り下ろされたほうきは俺の体を直撃することはなかった。

「まったく・・・うるさくっておちおち寝てられやしませんわ」

背後で声がした。俺はゆっくりと振り返った。下着姿のまま俺の枕でほうきの行く手を阻んでいる紫のメリーが俺の頭上にいた。

「この方に危害を加えることはわたくしがゆるしませんわ」

まっすぐ俺のメリーに向かって視線を送っている紫のメリー。その表情は不適にも挑発的で、昨日俺のところに始めて現れたときと同じものだった。

 

「・・・あなた・・・だれ?」

メリー・・・俺のメリーも視線を俺から俺の背後の紫のメリーに向ける。表情はすっかりと攻撃態勢に変わっている。

 

「誰でもいいですわ。この方にこれ以上危害を加えようとするのなら・・・」

枕で抑えていたほうきをはじき返し、

「私が相手になりますわ」

そう言い放つと、床へと転がり出る。

 

黒のメリー・・・俺のメリーもほうきを器用に空中で持ち直し、紫のメリーの転がり出た方向に向かって歩み出た。

紫のメリーの転がった先は、クローゼットの前。

そこには彼女の武器である鎌が昨日のままで放置されていた。

紫のメリーは、自分の鎌を構える。

「何者かはわかりませんが、突然現れて、私の大事な人に危害を加えるなんて、とても許されたもんじゃありませんわ」

 

大事な人?おい・・・いつからそうなったんだ?

その言葉を聞いて、俺のメリーは、キッと俺のほうを振り向き・・・無言でにらみを・・・。

どういうこと?

と、問い詰められている感覚だ。しかし、俺にもそのあたりはまったくわからないわけで・・・。

 

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メリー衝突4

「よそ見をしている暇はありませんわよ」

紫のメリーは、真横に鎌を滑らせていく。俺のメリーにめがけて。

俺は、飛び起きて走った。もちろん俺のメリーを助けるために・・・。

しかし、それには及ばなかった。俺のメリーはほうきを左手に持ちかえて、ほうきの枝で鎌の行く手を防いでいた。

カンとすんだ音が部屋の中に響いていた・・・。

鉄?ほうきの枝は鉄製じゃないか・・・。そんなものがもしも・・・脳天に直撃していたら・・・。

・・・紫のメリー・・・感謝・・・。

「なかなかやりますわね・・・」

第一打を防がれて動揺を隠せないようだが、それでも、本来が負けず嫌いなのか、負け惜しみを口にする。

俺は、いそいで紫のメリーの鎌と俺のメリーのほうきをつかんだ。

「まて!二人とも・・・誤解だ!メリー!この子は・・・そのなんだ・・・お前の考えているようなんじゃない!」

まずはメリーの誤解・・・。おそらくはメリーが変えた後に女の子を連れ込んで・・・。というものだろうと想像できる・・・

いや普通はそう考えるだろう。それをとかないと話が始まらない。

「私が、何を考えているって言うんですか?」

だめだ・・・。また怒りがぶり返してきたみたいだ・・・。

「いや、その、なんだ・・・俺はこの子に何もしてないし・・・第一この子は俺を殺しに来たんであって、この子もメリーだっていうんだ・・・」

「・・・・・そうですか・・・私に飽き足らず、ほかのメリーまで召還して・・・」

俺の手からほうきを抜き去る。

「そんなに女の子に囲まれたいんですか?」

そして大きく振り上げ、

「いったいあと何人召還したの?」

振り下ろす・・・。

カン・・・。

すんだ音が部屋に響く・・・。

紫のメリーの鎌がほうきを防いでいる。

「あなたが黒のメリーですの?」

紫のメリーが落ち着いた声で言った。

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メリー衝突5

俺はもう一度、メリーの・・・二人のメリーの武器をつかみ、

俺のメリーに向かって言った

「ちょっとおちつけ!俺はお前しか召還してないし、とにかく話を聞け!」

と黒のメリー・・・俺のメリーの顔をじっと見つめる。誠意は俺の目を見て感じ取ってくれといわんばかりに・・・。

確かにちやほやされるのはいやではないが、そんなこと今の今まで思ったこともないし、何より俺にはメリーが・・・黒のメリーと呼ばれる俺のメリーが何よりも大事だ。

そんな思いを目に込めながら。

「本当?私以外召還してない?」

「してないよ・・・まったく、麻子に何を吹き込まれてきたんだか・・・」

あの潔癖症のことだ・・・。何を吹き込んだのかは想像できる・・・。

「じゃあ・・・この人は?」

俺のメリーは、紫のメリーの方を見てそういった。

「俺を殺しにきたんだと」

紫のメリーを見ると、ふくれっつらですでに鎌を手放し、胡坐をかいて、つんと横を向いていた。

「そうだよな?俺を殺しに来たんだよな」

すねている紫のメリーをつついてこちらを向かせた。

「そうですわよ!黒のメリーが契約を遂行できない状態にあるみたいですから、わたくしが変わりに遂行して差し上げようとここにやってきたのですわ」

「何のために?」

俺のメリーは、驚いて、ほうきにこめた力を抜いた。

「黒い鎌のマスターになるには、契約を遂行できない黒のメリーつまりお前の変わりに俺を殺すことが必要なんだそうだ。」

俺は昨日黒い鎌から聞いたことを告げた。

「もしも俺を殺すことができていたら、お前はこの紫のメリーの下僕となり、紫のメリーは黒の鎌の正式な所有者となるのだそうだ」

「え?じゃあ・・・」

「そうだ。こいつ以外にも俺の命を狙って、黒い鎌のマスターになろうとするものが現れるかも知れないそうだ」

紫のメリーが俺の言葉をさえぎるように立ち上がった。

「もうわたくしは、この方を殺すなんてそんなことはしませんわよ」

そのまま(下着姿のままなんだが)俺の横に来てそっと手を握る。

「わたくしの大切な方ですから」

・・・と顔を赤らめて見せる・・・。

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メリー衝突6

「な、なにを・・・」

動揺しているが体が動かない様子の黒のメリー。もちろん俺も何が起こったのか輪からにままその手を握られていた。

「もしも、先ほどのようにこの方を信じられないようでしたら、わたくしがこの方をいただいて差し上げてもよろしくてよ!」

ほほほほほと笑う。

「ば、なにいってるのよ!し、信じてないわけないじゃない」

「そうかしら?その割にはその鉄パイプのようなほうきでこの方の頭をお割りになってしまう勢いでしたわね」

「うるさいわね!ちゃんと寸前でとめるつもりでしたぁ!」

「さあどうだか・・・」

鼻で笑う紫のメリー・・・。腕力や技術ではともかく、口先では紫のメリーのほうが一枚も二枚も上手のようだ。

「よく見るとまだまだ発達途上のちんちくりんですわね。ご主人様!こんなつるつるぺったんよりもわたくしのほうが・・・」

紫のメリーの言葉が終わる前に、俺のメリーも言い返す。

「ちんちくりんじゃないもん!ちゃんと・・・」

ちゃんと・・・何なんだろう・・・いやそうじゃない・・・。

「いや・・・そのなんだ・・・そんな低レベルな争いよりも・・・」

と、とめに入るも二人のメリーから同時に・・・。

「何が低レベルですの?」

「大事な問題なの!」

と・・・。

けんけんがくがくと言いあいをしている二人の武器を手にとって、クローゼットの前を後にした。

ベッドの横には、昨日の夜から放置されている黒い鎌がある。

その鎌を直接触れないように注意しながらを毛布にくるみ、ベッドの下へと押し込んだ。

俺はベッドに黒い鎌を押し込めながら、昨日黒い鎌から得た情報を考えていた。

ひとつは、俺が魔物に狙われてしまう立場になってしまったということ。

もうひとつは、それを回避するための3つの方法。

ひとつは、俺が自ら命を絶つという方法。

もうひとつは、黒い鎌のマスターとなること

そして最後が・・・

メリーと俺の契約を解除させること

一つ目の方法は、簡単だ。しかし、それを実行するわけにはいかない。俺自身が死ぬことが怖い・・・

怖くないといえばうそになるが、死ぬことよりもメリーを悲しませ、また絶望のふちにおいやるような・・・そんなことをしてしまうほうがよほどつらい。

これは却下だな・・・。

ベッドに腰をかけ、まだ何か小競り合いを続けている二人をそっと見た。

紫のメリー・・・あいつがなぜ俺を殺すことをしなくなったかはわからない。

しかも俺のことを大切な・・・とか言うのか・・・。

しかし、昨日のあの状況で黒い鎌の力を借りなければとてもではないが、紫のメリーにかなわなかっただろう。

運良く、彼女は俺を殺すという目的を排除してくれているが、ほかの魔物がそうなるとは限らない。

二つ目の方法・・・。

黒い鎌のマスター・・・。

昨日は何とかあの力を抑えることができた。しかし、今度使ったときに、あの力を制御できるかどうかの自信はなかった。

ふと玄関の方を見る。台所の窓が開いていた・・・。

そういうことか・・・。

メリー・・・俺のメリーはあそこから入り込んだわけだ。

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メリー衝突7

玄関の鍵は今でもきちんと閉まっている。なのに、メリーはこの部屋に入ってきた。

しかし、それは瞬間移動のようなメリーがもともと持っている人外のものとしての能力ではなく、

俺が着替えているというのに、こそっと窓から様子を覗き込んで、ベッドの上にいる女の子を発見して、物音を立てぬように

こっそりとその窓から入り込んだのだろう。

身体的な能力こそは衰えていないが、いわゆる霊能力ともいうべき特殊な能力については、今の彼女には期待できない。

そう考えると、あの黒い鎌のマスターとなるかどうかは別にして、あの鎌を使って、俺だけでなくメリーも守るというのが俺の役目なのではないか?

そんなことを思っていた。

そして、最後の・・・契約の解除。

黒い鎌ですらそれを知らないといった。

だが、それを行えば、俺はほかの魔物から狙われなくなる。また、メリーを開放してあげることもできる。

俺は、うぬぼれているのかも知れないが、契約で縛り付けられていなくても、メリーは俺の元にいてくれると、

そう信じていた。だから、契約さえ解除されれば、俺とメリーは自由に自分の意思で、

この部屋にい続けることができるのだ。

 

紫のメリーに聞いてみよう。

契約の解除の方法。そして、ほかの魔物について。

俺はベッドを殻立ち上がって、クローゼットの方へと向かった。

「たかしさんは、あたしのことだーいすきだもーん!」

ふくれっつらで必死で主張をする俺のメリーに対して、紫のメリーは軽くあしらっている感じを受ける。

「は?どうだか・・・。今はそうでも、あなたみたいな女性的な魅力のないままで成長しない体じゃ、

たかし様はきっとすぐにがっかりしてしまいますわ。ほほほほ」

おい・・・いつから呼び名が「たかし様」になったんだ?

それに・・・メリー・・・がっかりなんかしないぞ。うんうん。

「そ、そんなことないもん!」

そうだそうだ!

「たかしさんはエッチなことなんかしないもん!」

・・・いや、その・・・なんだ・・・そこのところはだな・・・断言できるかどうか・・・。

しかし・・・そうだな・・・お前がそう思っている限りは俺はそんなことはしない!

うん、がんばって我慢するぞ!うんうん

「ふん!まったくお子ちゃまですこと。そこまで言うのならわたくしがたかし様を誘惑しても、たかし様はいやらしいことはなさらないと、そういうわけですわね」

・・・何をいいだすんだ?メリー・・・これは罠だぞ・・・。口車に乗せられるんじゃないぞ・・・。

「もちろんだもん。たかしさんはエッチなことしないもん!!」

「そう。」

紫のメリーは・・・ここでにやりと笑った。

「それでは早速行動に移らせていただきますわよ!」

とこちらを向く。

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メリー衝突8

「あのな・・・そういう話は俺のいないところでしてくれ!」

何とか平静を保ちながら・・・その実・・・紫のメリーがどんな誘惑をしてくるんだろうと、わずかだが・・・期待していた俺。

しかし、そんなことすら計算済みのように、紫のメリーは、俺に擦り寄ってきて

「たかし様も大変ですわね。あのおこちゃまときたら、たかし様がそういうことをしないって、そう言い張るのですわよ」

「しないよ」

「ほほほほほ。我慢は体に悪いですわよ。まあ、あんなちんちくりんではそういうことをしようという気にもならないかも知れませんけど!ほほほほ」

「ちんちくりんじゃないもん!ちゃんと・・・」

ちゃんと・・・何なんだろう!

そこのところが激しく気になるぞ・・・。

「もし、我慢できなくなったら、わたくしでしたら、たかし様をやさしく慰めてあげるのですわ」

と、あくまでも俺のメリーに向かって園せりふを話す紫のメリー・・。

もしかしたら・・・。

俺は、紫のメリーの両肩をつかんだ。

はっと驚いた表情の紫のメリー。そして目と目が会うと顔を真っ赤にして、視線をそらす。

「どうなぐさめてくれるんだ?」

そう聞くと・・・そらした目線がまたこちらに戻って、じっと俺の目を見ながら・・・下唇をかむ。

肩からわずかな振るえが伝わってくる。

やはり・・・こいつ・・・口では強気なことを言っていても、実際にはどうしたらいいのかわからない・・・。あるいはそんな行動をすることはできないタイプだ。

体ががちがちに緊張しているのが肩から伝わってくる。

「お前の方こそ無理をするなよ」

そう言って肩から手を離す。紫のメリーはその場でへたり込んだ。

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メリー衝突9

紫のメリーは、そのままにしておき、俺はクローゼットの前で座り込んでいる俺のメリーの元へと

進んだ。

メリーはすねた顔をして、上目遣いでにらんできていた。

俺はかがんで、メリーの目線まで下がって、メリーの手を握った。

少し驚いた顔できょとんとしているメリー。

俺は、メリーを引き起こすようにたたせ、そのまま抱きしめた。

「え?」

何が起こったのかわからずにじたばたしているメリー。

俺はその耳元にできるだけやさしくこういった。

「メリー・・・大好きだよ」

じたばたしていたメリーの手足の動きが止まる。

「お前が一番で・・・2番とか3番とかない。そのままのメリーが今のままでいてくれたらそれでいいんだ」

メリーがどんな顔をしているのかはわからない。しかし背中に回された手に力がこもっていくのは感じていた。

「だからね、安心してここにいればいい。俺の横がお前の居場所だから」

ことん・・・。

俺の言葉が終わると、メリーは俺の頭に自分の頭を預けてきた。

わずかに鼻をすする音が聞こえる。ないているのかな?

しばらくこうしておいてやろう。つらくてないているのでなければ、それでいい。

俺は優しい気持ちでそのままメリーを抱きしめていた。

「グスン・・・ふん!まったく・・・たかし様!乙女心をもてあそぶと・・・き、きっと、ば、罰があたるのですわ!」

その声の主の方を振り向いた・・・。

どうやら、鼻をすすっていたのは、紫のメリーのほうだったようだ。

いつの間にか服を着終えた紫のメリーが鎌を手に立ち上がって、俺の方を指差していた。

目には涙の筋がいくつも流れていた。

「覚えておくといいのですわ!べ、別に悔しくなんてないんですわ!さ、さ、最後にその・・・抱きしめてもらうのは、わたしですわよ!」

という捨て台詞を残し、紫のメリーは消えた。

ふと横を見ると、メリーは・・・あっかんベーをしていた。

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