2007年01月09日

決意1

しばらくして俺の胸から離れたメリーは、照れくさそうにはにかんだ笑顔を見せた。

俺はそんなメリーの頭をなでて、ゆっくりと立ち上がった。そしてベッドのあるほうへと進み、ベッドに腰をかけてメリーを呼んだ。

「えっ?」

じっと俺の様子を見ていたメリーは、驚いた顔で俺の方をじっと見ている。

大きな瞳。まっすぐ俺の方を見ていた目線は、床を見つめ、次第に顔が赤くなってくる。

さらには・・・下唇を噛み、泣き出しそうな表情に・・・変わっていった。

目をつぶり・・・。そして決心をしたように一気に立ち上がり、右手と右足が同時に出てしまうようながちがちの歩き方で俺の目の前までやってくる。

けれどもまっすぐに俺の方を見ることができずに、俺の隣の布団の方をうつむき加減に見ながら、

「あ、あの・・・」

と何かを言おうとがんばっているみたいな様子だった。

・・・・・絶対勘違いしてる・・・。

ベッドに座っている俺に呼ばれたことで・・・メリーのやつとてつもない勘違いをしている・・・。

さっきそんなことはしないって、そう言ったはずなのにな・・・。

「えっと・・・えっと・・・」

俺はスカートのすそを握り締めているメリーの手をそっと握った。

びくっとして、真っ赤な顔で俺の方を見つめるメリー。目には涙があふれそうになっていた。

そのまま引き寄せ、メリーを抱きしめる。

体を硬くさせながら、俺に抱きしめられたメリーは・・・。

「あ、あの・・・や、やさしく・・・してください・・・」

・・・と絞りだすように言った。

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決意2

・・・やっぱり・・・メリーは勘違いしていたようだ。

しかし、ここまでかわいくもけなげな姿を見せられると・・・いやいや・・・。

俺は、どきどきしながらも、自分を制御した。

まだ、俺自身我慢できる。まだ、前の・・・まとめサイトの管理人に受けた数々の惨劇の傷がいえていないだろう。

こんなにも身を硬くして、おびえている・・・。

しかし、おびえながらも、いろいろと考えて言葉を絞りだしてくれたメリーを俺はもっと大切にしたいとも思う。

だから、今はまだ・・・。

「メリー・・・違うんだ。そんなに硬くならなくてもいい・・・」

メリーの耳元でそうつぶやいて、メリーの体を離した。

そうだ。今からメリーに離さなければならないことは、そんなことではない。

もっと、メリーにとっては、つらいことかも知れないのだ。

ぎゅっっと硬く閉じていたメリーの目がゆっくりと開かれた。こわごわと前を見る。きっと俺が微笑んでいるのがメリーに見えるだろう。

メリーは、息を吐きながらゆっくりと体の力を抜く。

「メリーに話があるんだ」

俺はゆっくりと切り出した。不思議そうな顔で俺を見つめているメリー。まだ顔はほんのりと赤い。

「俺を殺しにくるやつらがこれから現れるかも知れない」

その言葉を聞いたメリーの顔が一気にっ緊張感を伴って引き締まる。

「うん」

「それを防ぐ方法は3つあるらしい・・・そう黒い鎌が言っていた」

「・・・鎌・・・?」

「紫のメリーに昨日の夜。襲われた。殺されかけた。彼女の攻撃を防ぐものはなかった。俺はとっさに黒い鎌を手に取った」

「・・・・・・」

メリーの目が少しおびえた。

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決意3

鎌を手に取ってしまった人間・・・。

以前に俺も一度メリーの前で鎌に触れ、鎌の中から流れ込んできた黒い塊に支配されそうになった。

そして、メリーの言う前の人・・・まとめサイトの管理人は、黒い鎌に心を喰われ、欲望だけのけだものに成り下がった。

人間が持つと、欲望を高められ支配されてしまう・・・。そんなする黒い鎌・・・。

それを手に取ったという行為に本能的に恐怖を覚えているメリーに、

「大丈夫だ。もう少しで紫のメリーを消してしまうところだったけどね」

と俺は、いった。

「そのときに黒い鎌と話をしたんだ。俺を殺しにくるものがこれから続々と現れるだろうって」

メリーの顔におびえは消えたが、不安な表情はまだきれいな顔に残っていた。

「黒い鎌のマスターになるためには、今のマスターが成し遂げられなかった契約を代わりに成し遂げることが必要。つまり・・・」

「・・・・」

メリーは息を呑んで次の言葉を待っていた。

「俺を殺したものが、黒い鎌のマスターになり、メリーはそのものの下僕となる・・・。」

「・・・そんなことは!」

・・・させない!と続けようとしたメリーの言葉をさえぎって俺は言葉を続けた。

「それを防ぐ方法・・・ひとつは、俺が自ら命を絶つこと」

俺の目をじっと見、目の奥にある真意を覗き込もうとしているメリー。

「2つ目は・・・俺がメリーに代わり、黒い鎌のマスターなること・・・おそらくは一時的に俺が鎌を使い、襲ってくる魔物を排除するということだろう」

メリーは驚いた顔を見せる。黒い鎌を使いこなせる人間などというものを想像できないでいる。そんな感じだ。

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決意4

「そして、3つ目が、俺とメリーの契約を解除させることだそうだ。つまり、メリーが俺を殺さず、俺が呼び出したという契約を破棄させるということだと思う・・・」

「契約を・・・?」

「しかし・・・この方法については、黒い鎌も知らないらしい」

「え?」

―――――一度交わした契約を解除したことがあったという話は聞いたことがあるが、もう何十年も前に一

度だけだ。それがどのように行われたのかはしらぬ。誰が知っているのかも、わからぬ。

黒い鎌はそう言った。

「それで、俺は黒い鎌を使ってみようと思う」

俺は思い切ってメリーにそう告げた。

「ただ、本当に使いこなせるかどうかはわからない。でも、メリーをほかのものの下僕なんかにはさせたくない」

俺は握っているメリーの手をさらに強く握った。

「俺は死なないよ。メリーに他人に大事にされることが当たり前なんだってそう思ってもらえるまでは」

俺はメリーに微笑んだ。

「ただ・・・もしも、俺が黒い鎌を使いこなせなかったとき・・・」

俺は真剣な顔でメリーに言った

「メリーの手で、俺を・・・」

最後まではいえなかった。メリーが首を横に振りながら俺の胸に抱きついてきていた。

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2007年01月14日

決意5

メリーは、ただ俺の胸に顔を押し付けていた。

俺もしばらくの間、メリーをそのままにしていた。

メリーと出会ってから、まだ2日とたっていない。

なのに、今こいつが何を考えているのか、なんとなくだがわかる気がした。

あの妄想の中、俺はこいつとおそらくは何十年かの時を過ごした。

妄想とはいえ、現実と同じように笑い、現実と同じように怒ったり、泣いたりもした。

その時間の中で心を通わせてきた。

こいつが何を思っているのかわかる気がするのは、それだからなのかも知れない・・・。

何年たっても、何十年たっても、大丈夫だ。

俺はこいつを大事にできる。その思いを色あせることなく持ち続けることができる。

俺はそう確信している。

メリーの考えていること・・・それは・・・。

俺に鎌を持たせるくらいなら・・・

「私・・・守るよ・・・」

ふいにメリーが俺に胸の中でつぶやいた。

「たかしさんにそんな危ないことさせるくらいなら、私が守る」

そういって顔を上げて俺を見上げるメリー・・・。目が真っ赤だ。しかし、その目にはきりりとした決意が宿っている。

きゅっと結んだ唇。幼くも整った顔立ち。目はじっと俺の方を見ていた。

俺はメリーをもう一度抱きしめ、

「だめだ。メリーがあの鎌を持ったら、あの黒い鎌の意思・・・たくさんの思い・・・それをまた感じなければならないだろ?」

そうだ・・・人外のものとはいえ、精神的にはまだ少女のままのメリーにあの圧倒的な絶望感にも似た黒い塊を二度と体験させたくなかった。

「大丈夫だ。黒い鎌は俺を殺させはしない。鎌自身の意思が、ほかのものに所有されることをよしとしない」

だから・・・

「鎌に交渉だ」
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決意6

118番目

俺はできるだけやさしくメリーの髪をなでた。俺自身その交渉がうまくいくかどうかわからない。しかし、鎌自身のプライドの高さゆえに俺の要求を拒まないだろう

俺は、驚いた顔で俺の方を見ているメリーを少し離して、床・・・ベッドの下の毛布に包まっている黒い鎌を手にした。

「鎌・・・・黒い鎌よ・・・俺の意思を沈みこまないように、俺をのっとらずに、俺にお前を使いこなせるようにできるか?」

メリーが明らかにおびえている。しかし、いざとなれば俺の手から鎌を奪う体制で構えている。

メリー自身もまた俺がメリーの言うことを聞かずに鎌を手にすることをわかっていたのだろう。

わかった上で、攻撃態勢のまま俺の横に立っている。

ぐをををぉおぉぉぉぉぉん・・・・。

鎌から黒い塊が流れ込んでくるような感覚・・・もう何度も経験した不快感。

だが次第にその衝撃は和らいでいる気がする。

――――なめられたものだな。

黒い鎌はそう言った。それは俺の頭の中に直接響いている感覚・・・。

しかし、メリーの目が俺を見る。メリーの目は自分にも・・・鎌に触れていない自分にもその鎌の声が聞こえていることをしましていた。

――――お前ごときが、わしを・・・わしにのっとられずにわしを使いこなせるとでもおもっているのか?

――――先ほど、あれだけの動きが取れたのはお前の体の神経をこちらで操作したからだ。

「わかっている。俺はまったくお前にのっとられている状態で危うく人ではないにしろ、女の子を一人手にかけてしまうところだった」

俺は体の中の黒いものに向かって今までと同じように感情を押し返すようにぶつけた。

「お前は、危険だ。もしも、ほかの人間やメリーに危害が及ぶようなら、俺は体を預けることはできない」

――――なるほど・・・。外から来る魔物を排除する気になったか・・・。

「ああ、ただし、そいつらから契約の解除の方法を探り出す」

メリーが、少し攻撃態勢を緩めて、俺の顔を見た。

posted by 126 at 15:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 第九の情景「決意」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

決意7

119番目

俺はかまわずに続ける。

「そして、メリーを自由の身にした上で、俺と暮らしてもらうように頼む」

――――それはいい。

鎌が笑っていた。それは物理的な笑いではなかったが、さげすんだような、哀れみを伴った冷ややかな笑いの波が俺の胸に押し寄せてきていた。

――――そうなれば、よりいっそう、お前によってメリーは幸せになるな。幸せになればなるほど、お前が死んだとき・・・

そうだ・・・黒い鎌の目的は、メリーを不幸のどん底に叩き込むこと。それによって人の心をつぶし、人形メリーとして、人外のものとして成長させること・・・。

しかし、そんなことをさせない。

俺は鎌を握り返した。俺の胸のうちは言わずにいた。

もしかしたら黒い鎌のことだ。俺の心などとっくに読みきっているかも知れない。けれども、俺は言わずにいた。

――――いいだろう。少しの間、お前がメリーに変わりわしのマスター代理だ。

あまりの素直さに不気味に思ったが、俺の中から引き上げていく黒い塊の感触を感じ、俺はメリーに笑顔を返した。

「お、おわったの?」

「ああ、おわった・・・」

心底疲れた・・・。メリーの手を引き、もう一度抱きしめた。

「おそらく、とりこまれることはないよ。もしもそうなっても・・・」

「私に・・・たかしさんを殺せ・・・なんていっても無理・・・だよ・・・」

遠くを見ながらメリーが言う。

「いわないよ」

俺はメリーの顔を上げさせ、

「メリーの笑顔があればね、きっと取り込まれたりしない」

そう言ってメリーの顔に少しづつ近づいて・・・。。

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2007年02月13日

決意8

120番目

メリーは、少し顔を引いて、驚いた顔を見せた。

まん丸な目で俺のことをじっと見ている。

「あのさ・・・メリー・・・あまり見つめられると・・・」

「う、うん・・・」

真っ赤な顔で目をそむける。

「目をつぶって・・・」

そういうとがちがちに緊張したメリーは、びくっとしながら

「は、はい・・・」

と裏返った声で言った。

そしてぎゅーーーっときつく目をつぶる。

ちょうど・・・(><)こんな感じだ。

俺は微笑んで、メリーのほうへと近づこうとしたそのとき・・・。

メリーの背後の空間がゆがんだ。

敵か?

俺は、鎌を意識した。鎌が俺の手にすっと吸い寄せられるように収まる。

右手をそのままメリーの方にそして左手に鎌を構えた。

 

ゆがんだ空間から、なにものかが現れた!
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決意9

121番目

・・・スリッパ?

 

何もない空間からスリッパとそれを持っている人物の手が同時に現れ、一瞬目を疑っている間に、メリーの頭を・・・

 

すこーーーーん!

 

突然の頭への衝撃に目を開き、俺をじっと見るメリー。

じっと見るという感じではないな・・・。

俺をにらみつけるメリー。

 

俺はとにかく首を横に振って自分ではないとそういう主張をするしかなかった。

メリーの反応を確認している間に、空間の中から出てきたスリッパは消えていた・・・。

 

メリーをもう一度見ると・・・やはり俺をにらんでいる。

「ち、違うんだよ!俺じゃない・・・。後ろからその・・・なんだ・・・スリッパが・・・」

ものすごく緊張していた恥ずかしさも手伝って、期待が裏切られたこともあいまって・・・。

メリーは、俺の言葉など聞いていないような状態であった。

 

ゆっくりとあとづさりをしながら、

「落ち着いて・・・メリー?・・・落ち着こうね・・・」

そうなだめるしかなかった。ベッドの上にあがり、壁際まで追い詰められた俺。

メリーはそんな俺に馬乗りになるようになって、俺を押さえつけた。そして・・・。

「ちゃんと・・・して!」

・・・と、なんとも恥ずかしくも、ストレートな台詞を俺に投げつけてくる。

 

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決意10

 

122番目

「・・・う、うん」

俺はメリーの気迫に負けて、そううなずくしかなかった。

まるで俺が襲われてるようなかんじだ・・・。

すこし、どきどきしながら、メリーの顔が近づいてくるのを待った・・・。

すると、またメリーの背後の空間が、揺らめき始める。

「メリー後ろ!」

俺は叫んだ!

目を閉じて俺に血被いてこようとしていたメリーは、俺の声にわれに返り、

振り返る。

と同時に空中の揺らめきの中からスリッパが現れ・・・メリーの顔面を直撃して、消えていった・・・。

 

「いたーーーい!」

顔を抑えて、かがみこむメリー・・・。

そこには、スリッパがひとつ落ちていた。

しかも・・・便所スリッパ・・・。

俺はメリーに駆け寄りった。

「ちょっと顔を見せて!」

鼻とおでこが赤くなっているものの、たいした怪我はなさそうだ。

「いたい!いたいいたいいたい!」

と何度も叫びながらすっと立ち上がるメリー!

そして・・・なのもない部屋の真ん中に向かって目を凝らして、叫んだ!

「紫!そこにいるんでしょ!出てきなさいよ!」

 

・・・紫・・・紫のメリーか・・・。

俺はため息をついた・・・。

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決意11

123番目

何もない空間が揺らめき、次第に輪郭を浮かび上がらせる。

薄い紫に濃い紫のアクセントで構成されたメイド服。

白いレースはふんだんに使ってある。非常に上品な感じのするロングスカート。

俺のメリーよりは少しお姉さんという感じの少女が現れた・・・。

彼女もまたメリー・・・紫のメリーだという・・・。

 

「おこちゃまの癖に・・・そういうことは、まだまだまだまだまだまだはやいんですの!」

きっと、俺のメリーをにらみつけている紫のメリー。

「たかし様もたかし様ですの!」

今度はメリーの後ろにいる俺をにらみつける紫のメリー。

「私が姿を消して、もしかしたら、こんなおこちゃまじゃなくって、私しをお呼び下さるのではないかと期待に胸を膨らませながら・・・」

紫のメリーは俺のメリーを無視して、俺に近づいてくる・・・。

「そう・・・『紫・・・やっぱり、あんな発育の止まったおこちゃまではなく、お前が・・・』なんていってくださるのではないかと・・・その・・・待っていたら・・・なんですの?そんなおこちゃまなんかに・・・」

夢見がちな乙女の妄想モード・・・。目に星がきらきらと光っているぞ・・・。

「発育とまってないもん!」

紫のメリーの行く手を阻むのは、俺のメリー・・・。

「ちょっとまて・・・」

またここで、少女の発育についてといううれしはずかしな話題で盛り上がられては、話が進まない。

「メリー・・・ちょっと待ってくれ、紫のメリー・・・少し話したいことがある」

俺は、俺のメリーを引っ張って、紫のメリーから引き離し、紫のメリーの前に立った。

「ほら!やはり、おこちゃまなんかではたかし様は満足・・・」

ほほほほほと高笑いしそうな紫のメリーの言葉をさえぎり、俺は話を切り出した。

 

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決意12

124番目

「唐突だが、おまえ、どうやって、メリーが俺との契約をしたことを知った?」

俺は真剣な顔で紫のメリーを見据えた。

俺のメリーも、俺のいわんとしていることがわかったと見えて、ベッドに座って俺の様子を見ている。

紫のメリーは・・・。

「そ、それは・・・」

少しうろたえ、下を向いた。

「それはいえませんの・・・」

先ほどまでの高飛車な態度からは一変して、沈み込んだ姿の紫のメリー。

「どうしてだ?」

「それを話したら、わたくしも、消されてしまいますの・・・」

「そうか・・・わかった」

・・・紫のメリーは本当に何かにおびえているようだった。

しかし、ここでわかったことがある。紫のメリーは、偶然黒のメリー・・・つまり俺のメリーが俺を殺すことができなかった、つまり契約を遂行することができなかったということを知ったのではなく、何者かに告げられたということ。

そして、そのなにものかは、紫のメリーをおびえさせる存在であるということ。

たしかに、黒い鎌の話では、人外のものにとって、黒い鎌のマスターとなることは絶大なる力を与える。

人外のものである、紫のメリーにとっても、それは大きなメリットであるだろう。

しかし、それがなにものかによって指示されたものであるのであれば・・・。

そのものの目的は・・・いったいなんだというのか?

 

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決意13

125番目

「でも!でも!ですの!」

俺が考え込んでいると、紫のメリーが、俺の手を握って必死に訴えてきた。

「たかし様を殺したりはしませんの!それだけはわたくし・・・できませんの」

あまりに必死にうったえてくるもの紫のメリーの勢いに押されて、俺はベッドへと押されて転がり込んでしまった。

「それはしんじてほしいのですの。あのとき、黒い鎌に支配されたたかし様に、私は消されてしまうはずだったのですの・・・」

紫のメリーの目にはあのときの恐怖が宿っているのだろうか?

目は閉じたまま、涙があふれていた。

「でも、たかし様は・・・人間のなのに・・・人間の癖に・・・あの黒い鎌に反抗して・・・精神が崩壊してもおかしくはない状況だったでしょうに・・・苦しかったでしょうに・・・それでも、わたくしをまもってくださいましたの」

手をぎゅっと握り、どうしてもわかってほしい・・・そんなそぶりで訴えかけてくる。

「・・・わたくしは一度消されていましたの。あのときに・・・だからたかし様を殺すなんて・・・できませんの」

震えている。しかし、俺はどうすることもできずに紫のメリーを見つめていた。

「わたくし・・・には・・・できませんの・・・たとえあのお方を裏切ることになろうとも・・・」

紫のメリーはそのまま泣き崩れた。ベッドのふちに顔をうずめて・・・。俺はそんな紫のメリーの方に手を置いた。

横には俺のメリーがいた。俺の目を見て、うなずきながら微笑んでくれた。

紫のメリーは何かにおびえ、あまりにも無力だった。

今もなお、「あのお方」と呼ぶものに対して、おびえているのだろう。

俺を殺すこと、つまりメリーの契約を肩代わりし黒い鎌の所有者になること。

どうやら、それができなかったことで、「あのお方」と呼ぶものを裏切ることになるのだろう。

今からでも遅くはないのだろうに・・・。俺を狙えばそんなにおびえる必要はないのだろうに・・・。

それでも、彼女は俺を「ころせない」と・・・。

そう言ってくれていた。

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