2007年01月14日

決意5

メリーは、ただ俺の胸に顔を押し付けていた。

俺もしばらくの間、メリーをそのままにしていた。

メリーと出会ってから、まだ2日とたっていない。

なのに、今こいつが何を考えているのか、なんとなくだがわかる気がした。

あの妄想の中、俺はこいつとおそらくは何十年かの時を過ごした。

妄想とはいえ、現実と同じように笑い、現実と同じように怒ったり、泣いたりもした。

その時間の中で心を通わせてきた。

こいつが何を思っているのかわかる気がするのは、それだからなのかも知れない・・・。

何年たっても、何十年たっても、大丈夫だ。

俺はこいつを大事にできる。その思いを色あせることなく持ち続けることができる。

俺はそう確信している。

メリーの考えていること・・・それは・・・。

俺に鎌を持たせるくらいなら・・・

「私・・・守るよ・・・」

ふいにメリーが俺に胸の中でつぶやいた。

「たかしさんにそんな危ないことさせるくらいなら、私が守る」

そういって顔を上げて俺を見上げるメリー・・・。目が真っ赤だ。しかし、その目にはきりりとした決意が宿っている。

きゅっと結んだ唇。幼くも整った顔立ち。目はじっと俺の方を見ていた。

俺はメリーをもう一度抱きしめ、

「だめだ。メリーがあの鎌を持ったら、あの黒い鎌の意思・・・たくさんの思い・・・それをまた感じなければならないだろ?」

そうだ・・・人外のものとはいえ、精神的にはまだ少女のままのメリーにあの圧倒的な絶望感にも似た黒い塊を二度と体験させたくなかった。

「大丈夫だ。黒い鎌は俺を殺させはしない。鎌自身の意思が、ほかのものに所有されることをよしとしない」

だから・・・

「鎌に交渉だ」
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2007年01月09日

決意4

「そして、3つ目が、俺とメリーの契約を解除させることだそうだ。つまり、メリーが俺を殺さず、俺が呼び出したという契約を破棄させるということだと思う・・・」

「契約を・・・?」

「しかし・・・この方法については、黒い鎌も知らないらしい」

「え?」

―――――一度交わした契約を解除したことがあったという話は聞いたことがあるが、もう何十年も前に一

度だけだ。それがどのように行われたのかはしらぬ。誰が知っているのかも、わからぬ。

黒い鎌はそう言った。

「それで、俺は黒い鎌を使ってみようと思う」

俺は思い切ってメリーにそう告げた。

「ただ、本当に使いこなせるかどうかはわからない。でも、メリーをほかのものの下僕なんかにはさせたくない」

俺は握っているメリーの手をさらに強く握った。

「俺は死なないよ。メリーに他人に大事にされることが当たり前なんだってそう思ってもらえるまでは」

俺はメリーに微笑んだ。

「ただ・・・もしも、俺が黒い鎌を使いこなせなかったとき・・・」

俺は真剣な顔でメリーに言った

「メリーの手で、俺を・・・」

最後まではいえなかった。メリーが首を横に振りながら俺の胸に抱きついてきていた。

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決意3

鎌を手に取ってしまった人間・・・。

以前に俺も一度メリーの前で鎌に触れ、鎌の中から流れ込んできた黒い塊に支配されそうになった。

そして、メリーの言う前の人・・・まとめサイトの管理人は、黒い鎌に心を喰われ、欲望だけのけだものに成り下がった。

人間が持つと、欲望を高められ支配されてしまう・・・。そんなする黒い鎌・・・。

それを手に取ったという行為に本能的に恐怖を覚えているメリーに、

「大丈夫だ。もう少しで紫のメリーを消してしまうところだったけどね」

と俺は、いった。

「そのときに黒い鎌と話をしたんだ。俺を殺しにくるものがこれから続々と現れるだろうって」

メリーの顔におびえは消えたが、不安な表情はまだきれいな顔に残っていた。

「黒い鎌のマスターになるためには、今のマスターが成し遂げられなかった契約を代わりに成し遂げることが必要。つまり・・・」

「・・・・」

メリーは息を呑んで次の言葉を待っていた。

「俺を殺したものが、黒い鎌のマスターになり、メリーはそのものの下僕となる・・・。」

「・・・そんなことは!」

・・・させない!と続けようとしたメリーの言葉をさえぎって俺は言葉を続けた。

「それを防ぐ方法・・・ひとつは、俺が自ら命を絶つこと」

俺の目をじっと見、目の奥にある真意を覗き込もうとしているメリー。

「2つ目は・・・俺がメリーに代わり、黒い鎌のマスターなること・・・おそらくは一時的に俺が鎌を使い、襲ってくる魔物を排除するということだろう」

メリーは驚いた顔を見せる。黒い鎌を使いこなせる人間などというものを想像できないでいる。そんな感じだ。

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決意2

・・・やっぱり・・・メリーは勘違いしていたようだ。

しかし、ここまでかわいくもけなげな姿を見せられると・・・いやいや・・・。

俺は、どきどきしながらも、自分を制御した。

まだ、俺自身我慢できる。まだ、前の・・・まとめサイトの管理人に受けた数々の惨劇の傷がいえていないだろう。

こんなにも身を硬くして、おびえている・・・。

しかし、おびえながらも、いろいろと考えて言葉を絞りだしてくれたメリーを俺はもっと大切にしたいとも思う。

だから、今はまだ・・・。

「メリー・・・違うんだ。そんなに硬くならなくてもいい・・・」

メリーの耳元でそうつぶやいて、メリーの体を離した。

そうだ。今からメリーに離さなければならないことは、そんなことではない。

もっと、メリーにとっては、つらいことかも知れないのだ。

ぎゅっっと硬く閉じていたメリーの目がゆっくりと開かれた。こわごわと前を見る。きっと俺が微笑んでいるのがメリーに見えるだろう。

メリーは、息を吐きながらゆっくりと体の力を抜く。

「メリーに話があるんだ」

俺はゆっくりと切り出した。不思議そうな顔で俺を見つめているメリー。まだ顔はほんのりと赤い。

「俺を殺しにくるやつらがこれから現れるかも知れない」

その言葉を聞いたメリーの顔が一気にっ緊張感を伴って引き締まる。

「うん」

「それを防ぐ方法は3つあるらしい・・・そう黒い鎌が言っていた」

「・・・鎌・・・?」

「紫のメリーに昨日の夜。襲われた。殺されかけた。彼女の攻撃を防ぐものはなかった。俺はとっさに黒い鎌を手に取った」

「・・・・・・」

メリーの目が少しおびえた。

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決意1

しばらくして俺の胸から離れたメリーは、照れくさそうにはにかんだ笑顔を見せた。

俺はそんなメリーの頭をなでて、ゆっくりと立ち上がった。そしてベッドのあるほうへと進み、ベッドに腰をかけてメリーを呼んだ。

「えっ?」

じっと俺の様子を見ていたメリーは、驚いた顔で俺の方をじっと見ている。

大きな瞳。まっすぐ俺の方を見ていた目線は、床を見つめ、次第に顔が赤くなってくる。

さらには・・・下唇を噛み、泣き出しそうな表情に・・・変わっていった。

目をつぶり・・・。そして決心をしたように一気に立ち上がり、右手と右足が同時に出てしまうようながちがちの歩き方で俺の目の前までやってくる。

けれどもまっすぐに俺の方を見ることができずに、俺の隣の布団の方をうつむき加減に見ながら、

「あ、あの・・・」

と何かを言おうとがんばっているみたいな様子だった。

・・・・・絶対勘違いしてる・・・。

ベッドに座っている俺に呼ばれたことで・・・メリーのやつとてつもない勘違いをしている・・・。

さっきそんなことはしないって、そう言ったはずなのにな・・・。

「えっと・・・えっと・・・」

俺はスカートのすそを握り締めているメリーの手をそっと握った。

びくっとして、真っ赤な顔で俺の方を見つめるメリー。目には涙があふれそうになっていた。

そのまま引き寄せ、メリーを抱きしめる。

体を硬くさせながら、俺に抱きしめられたメリーは・・・。

「あ、あの・・・や、やさしく・・・してください・・・」

・・・と絞りだすように言った。

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2007年01月05日

メリー衝突9

紫のメリーは、そのままにしておき、俺はクローゼットの前で座り込んでいる俺のメリーの元へと

進んだ。

メリーはすねた顔をして、上目遣いでにらんできていた。

俺はかがんで、メリーの目線まで下がって、メリーの手を握った。

少し驚いた顔できょとんとしているメリー。

俺は、メリーを引き起こすようにたたせ、そのまま抱きしめた。

「え?」

何が起こったのかわからずにじたばたしているメリー。

俺はその耳元にできるだけやさしくこういった。

「メリー・・・大好きだよ」

じたばたしていたメリーの手足の動きが止まる。

「お前が一番で・・・2番とか3番とかない。そのままのメリーが今のままでいてくれたらそれでいいんだ」

メリーがどんな顔をしているのかはわからない。しかし背中に回された手に力がこもっていくのは感じていた。

「だからね、安心してここにいればいい。俺の横がお前の居場所だから」

ことん・・・。

俺の言葉が終わると、メリーは俺の頭に自分の頭を預けてきた。

わずかに鼻をすする音が聞こえる。ないているのかな?

しばらくこうしておいてやろう。つらくてないているのでなければ、それでいい。

俺は優しい気持ちでそのままメリーを抱きしめていた。

「グスン・・・ふん!まったく・・・たかし様!乙女心をもてあそぶと・・・き、きっと、ば、罰があたるのですわ!」

その声の主の方を振り向いた・・・。

どうやら、鼻をすすっていたのは、紫のメリーのほうだったようだ。

いつの間にか服を着終えた紫のメリーが鎌を手に立ち上がって、俺の方を指差していた。

目には涙の筋がいくつも流れていた。

「覚えておくといいのですわ!べ、別に悔しくなんてないんですわ!さ、さ、最後にその・・・抱きしめてもらうのは、わたしですわよ!」

という捨て台詞を残し、紫のメリーは消えた。

ふと横を見ると、メリーは・・・あっかんベーをしていた。

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メリー衝突8

「あのな・・・そういう話は俺のいないところでしてくれ!」

何とか平静を保ちながら・・・その実・・・紫のメリーがどんな誘惑をしてくるんだろうと、わずかだが・・・期待していた俺。

しかし、そんなことすら計算済みのように、紫のメリーは、俺に擦り寄ってきて

「たかし様も大変ですわね。あのおこちゃまときたら、たかし様がそういうことをしないって、そう言い張るのですわよ」

「しないよ」

「ほほほほほ。我慢は体に悪いですわよ。まあ、あんなちんちくりんではそういうことをしようという気にもならないかも知れませんけど!ほほほほ」

「ちんちくりんじゃないもん!ちゃんと・・・」

ちゃんと・・・何なんだろう!

そこのところが激しく気になるぞ・・・。

「もし、我慢できなくなったら、わたくしでしたら、たかし様をやさしく慰めてあげるのですわ」

と、あくまでも俺のメリーに向かって園せりふを話す紫のメリー・・。

もしかしたら・・・。

俺は、紫のメリーの両肩をつかんだ。

はっと驚いた表情の紫のメリー。そして目と目が会うと顔を真っ赤にして、視線をそらす。

「どうなぐさめてくれるんだ?」

そう聞くと・・・そらした目線がまたこちらに戻って、じっと俺の目を見ながら・・・下唇をかむ。

肩からわずかな振るえが伝わってくる。

やはり・・・こいつ・・・口では強気なことを言っていても、実際にはどうしたらいいのかわからない・・・。あるいはそんな行動をすることはできないタイプだ。

体ががちがちに緊張しているのが肩から伝わってくる。

「お前の方こそ無理をするなよ」

そう言って肩から手を離す。紫のメリーはその場でへたり込んだ。

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メリー衝突7

玄関の鍵は今でもきちんと閉まっている。なのに、メリーはこの部屋に入ってきた。

しかし、それは瞬間移動のようなメリーがもともと持っている人外のものとしての能力ではなく、

俺が着替えているというのに、こそっと窓から様子を覗き込んで、ベッドの上にいる女の子を発見して、物音を立てぬように

こっそりとその窓から入り込んだのだろう。

身体的な能力こそは衰えていないが、いわゆる霊能力ともいうべき特殊な能力については、今の彼女には期待できない。

そう考えると、あの黒い鎌のマスターとなるかどうかは別にして、あの鎌を使って、俺だけでなくメリーも守るというのが俺の役目なのではないか?

そんなことを思っていた。

そして、最後の・・・契約の解除。

黒い鎌ですらそれを知らないといった。

だが、それを行えば、俺はほかの魔物から狙われなくなる。また、メリーを開放してあげることもできる。

俺は、うぬぼれているのかも知れないが、契約で縛り付けられていなくても、メリーは俺の元にいてくれると、

そう信じていた。だから、契約さえ解除されれば、俺とメリーは自由に自分の意思で、

この部屋にい続けることができるのだ。

 

紫のメリーに聞いてみよう。

契約の解除の方法。そして、ほかの魔物について。

俺はベッドを殻立ち上がって、クローゼットの方へと向かった。

「たかしさんは、あたしのことだーいすきだもーん!」

ふくれっつらで必死で主張をする俺のメリーに対して、紫のメリーは軽くあしらっている感じを受ける。

「は?どうだか・・・。今はそうでも、あなたみたいな女性的な魅力のないままで成長しない体じゃ、

たかし様はきっとすぐにがっかりしてしまいますわ。ほほほほ」

おい・・・いつから呼び名が「たかし様」になったんだ?

それに・・・メリー・・・がっかりなんかしないぞ。うんうん。

「そ、そんなことないもん!」

そうだそうだ!

「たかしさんはエッチなことなんかしないもん!」

・・・いや、その・・・なんだ・・・そこのところはだな・・・断言できるかどうか・・・。

しかし・・・そうだな・・・お前がそう思っている限りは俺はそんなことはしない!

うん、がんばって我慢するぞ!うんうん

「ふん!まったくお子ちゃまですこと。そこまで言うのならわたくしがたかし様を誘惑しても、たかし様はいやらしいことはなさらないと、そういうわけですわね」

・・・何をいいだすんだ?メリー・・・これは罠だぞ・・・。口車に乗せられるんじゃないぞ・・・。

「もちろんだもん。たかしさんはエッチなことしないもん!!」

「そう。」

紫のメリーは・・・ここでにやりと笑った。

「それでは早速行動に移らせていただきますわよ!」

とこちらを向く。

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メリー衝突6

「な、なにを・・・」

動揺しているが体が動かない様子の黒のメリー。もちろん俺も何が起こったのか輪からにままその手を握られていた。

「もしも、先ほどのようにこの方を信じられないようでしたら、わたくしがこの方をいただいて差し上げてもよろしくてよ!」

ほほほほほと笑う。

「ば、なにいってるのよ!し、信じてないわけないじゃない」

「そうかしら?その割にはその鉄パイプのようなほうきでこの方の頭をお割りになってしまう勢いでしたわね」

「うるさいわね!ちゃんと寸前でとめるつもりでしたぁ!」

「さあどうだか・・・」

鼻で笑う紫のメリー・・・。腕力や技術ではともかく、口先では紫のメリーのほうが一枚も二枚も上手のようだ。

「よく見るとまだまだ発達途上のちんちくりんですわね。ご主人様!こんなつるつるぺったんよりもわたくしのほうが・・・」

紫のメリーの言葉が終わる前に、俺のメリーも言い返す。

「ちんちくりんじゃないもん!ちゃんと・・・」

ちゃんと・・・何なんだろう・・・いやそうじゃない・・・。

「いや・・・そのなんだ・・・そんな低レベルな争いよりも・・・」

と、とめに入るも二人のメリーから同時に・・・。

「何が低レベルですの?」

「大事な問題なの!」

と・・・。

けんけんがくがくと言いあいをしている二人の武器を手にとって、クローゼットの前を後にした。

ベッドの横には、昨日の夜から放置されている黒い鎌がある。

その鎌を直接触れないように注意しながらを毛布にくるみ、ベッドの下へと押し込んだ。

俺はベッドに黒い鎌を押し込めながら、昨日黒い鎌から得た情報を考えていた。

ひとつは、俺が魔物に狙われてしまう立場になってしまったということ。

もうひとつは、それを回避するための3つの方法。

ひとつは、俺が自ら命を絶つという方法。

もうひとつは、黒い鎌のマスターとなること

そして最後が・・・

メリーと俺の契約を解除させること

一つ目の方法は、簡単だ。しかし、それを実行するわけにはいかない。俺自身が死ぬことが怖い・・・

怖くないといえばうそになるが、死ぬことよりもメリーを悲しませ、また絶望のふちにおいやるような・・・そんなことをしてしまうほうがよほどつらい。

これは却下だな・・・。

ベッドに腰をかけ、まだ何か小競り合いを続けている二人をそっと見た。

紫のメリー・・・あいつがなぜ俺を殺すことをしなくなったかはわからない。

しかも俺のことを大切な・・・とか言うのか・・・。

しかし、昨日のあの状況で黒い鎌の力を借りなければとてもではないが、紫のメリーにかなわなかっただろう。

運良く、彼女は俺を殺すという目的を排除してくれているが、ほかの魔物がそうなるとは限らない。

二つ目の方法・・・。

黒い鎌のマスター・・・。

昨日は何とかあの力を抑えることができた。しかし、今度使ったときに、あの力を制御できるかどうかの自信はなかった。

ふと玄関の方を見る。台所の窓が開いていた・・・。

そういうことか・・・。

メリー・・・俺のメリーはあそこから入り込んだわけだ。

posted by 126 at 10:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 第八の情景「メリー衝突」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

メリー衝突5

俺はもう一度、メリーの・・・二人のメリーの武器をつかみ、

俺のメリーに向かって言った

「ちょっとおちつけ!俺はお前しか召還してないし、とにかく話を聞け!」

と黒のメリー・・・俺のメリーの顔をじっと見つめる。誠意は俺の目を見て感じ取ってくれといわんばかりに・・・。

確かにちやほやされるのはいやではないが、そんなこと今の今まで思ったこともないし、何より俺にはメリーが・・・黒のメリーと呼ばれる俺のメリーが何よりも大事だ。

そんな思いを目に込めながら。

「本当?私以外召還してない?」

「してないよ・・・まったく、麻子に何を吹き込まれてきたんだか・・・」

あの潔癖症のことだ・・・。何を吹き込んだのかは想像できる・・・。

「じゃあ・・・この人は?」

俺のメリーは、紫のメリーの方を見てそういった。

「俺を殺しにきたんだと」

紫のメリーを見ると、ふくれっつらですでに鎌を手放し、胡坐をかいて、つんと横を向いていた。

「そうだよな?俺を殺しに来たんだよな」

すねている紫のメリーをつついてこちらを向かせた。

「そうですわよ!黒のメリーが契約を遂行できない状態にあるみたいですから、わたくしが変わりに遂行して差し上げようとここにやってきたのですわ」

「何のために?」

俺のメリーは、驚いて、ほうきにこめた力を抜いた。

「黒い鎌のマスターになるには、契約を遂行できない黒のメリーつまりお前の変わりに俺を殺すことが必要なんだそうだ。」

俺は昨日黒い鎌から聞いたことを告げた。

「もしも俺を殺すことができていたら、お前はこの紫のメリーの下僕となり、紫のメリーは黒の鎌の正式な所有者となるのだそうだ」

「え?じゃあ・・・」

「そうだ。こいつ以外にも俺の命を狙って、黒い鎌のマスターになろうとするものが現れるかも知れないそうだ」

紫のメリーが俺の言葉をさえぎるように立ち上がった。

「もうわたくしは、この方を殺すなんてそんなことはしませんわよ」

そのまま(下着姿のままなんだが)俺の横に来てそっと手を握る。

「わたくしの大切な方ですから」

・・・と顔を赤らめて見せる・・・。

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